なんで 私ばっかり
とても不思議だったのが、娘リリカは、めんどくさいことに一切巻き込まれないことでした。
ウメさんは、私とリリカ、二人に全く同じセリフを言って、掃除をさせようしているのですが、私はノーが言えなくて、娘はサラッと断っているのです。
私の頭の中は「どうしていつも私ばっかり!」という追い詰められた気持ちと怒りが渦巻いていました。
あまりにもぶっ飛んだことを言われ、またもや面食らい
「何故この人はこんなことを言い出せるのだろう?」とか
「こんな癖のある人にどうやったら立ち向かえるだろう」などと、相手の顔色ばかりうかがって戦略を練っていたので、すっかり相手中心の思考になっていたんです。
ところが、娘の方は、ブレません。
初めから最後まで自分軸です。
「あんたもしたいやろ?」と聞かれたら、したくないので、純粋に
「いや私はしたくないです」とありのまま答えています。
今だからわかるのですが、支配する人は率直な人が苦手です。
支配することができないのです。そしてきっと心の何処かで、一目置くのでしょう。
だからウメさんは「あのお姉さんは、こわいい(よくわからないのですが怖いと可愛いをかけた言葉のようです)」とよくいって娘のわがままを全部許していました。その反面、私が同じことをしようものなら、それは許されないのでイネーブラーはつらいです。「なんで私ばっかり」ってことになりイネーブラーを卒業するまで、その関係性は続きました。
リリカは、いつも自然体で居られるのでウメさんが嫌いになりません。むしろ「面白い人だ、いい人だ」と好意的に感じていました。だからウメさんも「自分に似てて気楽やわ」と仲良くやっていました。
美和子は、我慢ばかりして表面はいい人を演じているのでどんどんウメさんが嫌いになりました。呼び止められたら、今度はどんな厄介なことをまた持ちかけられるのだろうと、恐怖と怒りで身構えてしまうので、その緊張が相手に伝わっていたと思います。
今日のお話のポイントは、ノーを言うときは自分軸で言えばいいんだよ。相手のことは相手の問題だからというお話でした。なのでリリカのように、好意を持ったら仲良くなれるよと勧めているわけでは全くありませんし嫌いな人を好きになろうと言っているわけでも全くないです。
私は苦手な人は苦手だから、仲良くしたくないですし、嫌われても平気です。嫌いなのに好きなふりをするなんてことは、もうまっぴらごめんです。
仮に、うんと無理をしてリリカと同じことをしたとしても、イネーブラーは、ターゲットなので、支配から免れることはできないです。
でも実際にイネーブラーを卒業すれば、相手の方がひどく困ったり苦しんで、これからどう関わっていったらいいのかを模索し変化せざるを得なくなります。
そういうダイナミックな椅子取りゲームを経てからでないと、自由が得られないということ自体が、イネーブラーはロックオンされ、支配され利用され重宝がられているのだと思います。