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DVからの脱出

弁護士さんとの関わり方ー美和子の場合ー

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むかーしむかし、

美和子が29歳の時、DVに苦しめられていた私は、ふたりの子どもを連れてシェルターへ逃げ離婚をしました。これは、その時のおはなしです。

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日本では、まだDVという言葉を聞いたことがなかったころです。

 

当時、自分に起きていることがわからず、ただただ混乱した日々を過ごしていました。

ある日、トボトボ道を歩いていた私に、偶然通りがかった知人が声をかけてくれました。様子がおかしかったのでしょう。あの時私は限界でした。世間話をするつもりが、突然涙が溢れ出し収拾がつかなくなって初めて本当のことを打ち明けてしまったのです。

黙って聞いていた彼女が突然「このままじゃ、あなた殺されるよ!」と叫び、私はハッとしました。

 

「私かくまってくれるところを知っているわ。手配するから、あなた、子どもたちと逃げなさい」

「え?!」声にならない言葉を発し私は息を飲みました。

恐ろしくてめまいがしました。

でも、直感が「そうしよう」と言います。内心穏やかではありませんでしたが、数日後台風が関西を直撃するというニュースが思い出され、その場で決意し急いで打ち合わせをしました。その夜実家の家族に打ち明け、お金を工面してもらい弁護士のところに行きました。そして翌々日の夕方には北へ向かう飛行機に飛び乗ったのです。

暴力から逃れる時は、完全犯罪が重要だと思います。いちばんの課題は、その時、自分のメンタルをどうやって自分で支えられるかです。その方法を伝えられたらなあと思います。

当時、別居中だったDV前夫は、監視目的で日に何回も電話連絡をしてきていました。私が留守をしていると怒鳴り込んでくるし、抜き打ちで突然車でやってきくるので、その目をかいくぐりるのは容易ではありませんでした。短時間で以前住んでいた遠方の病院に暴力の証拠になる診断書をもらいに走ったり、夫が日常車で行き来している街をタクシーで移動するときも、座席の下に潜り込むなど、ハラハラの連続で、サスペンス並みの緊迫感や恐怖感を味わいました。

当時の私の頭の中では(私のようなものが、そんな大それたことをしでかしていいのだろうかとか、子どもを取り上げていいのだろうか、とか、何かの間違いだったのよ。などとグルグルエンドレスに回り続け、いたたまれなくなります。本当はまだ夫への未練があったり、離婚なんか恐ろしくてできない、今ならまだ間に合う。元に戻ろう)などと頭の中が大混乱になっていました。

 

その一方で、どういうわけか、もう後戻りできないのだと自分に言い聞かせる自分もいて、メソメソクヨクヨしながら急ピッチで準備を始めているのでした。

弁護士さんは女性問題に詳しい女性の方にお願いしました。費用は1時間1万円だったと思います。高額なので内心ビビり上がるものの、そんなことは言ってられないので知恵と工夫で乗り越えられないか試してみようと思いました。前の夫に取り上げられて手持ちのお金が全くなかった、でもそれが幸いし、ハングリーになって現実逃避せずに臨めたのかもしれません。

 

私が作ったルールは「弁護士さんはカウンセラーじゃない、個人的な感情や情報は横に置いて、出来るだけ客観的事実を伝えよう」「気持ちは違うところで癒せばいいし整理すればいい。時間がかかるとお金がかさむ」と自分に言い聞かせました。

 

けちけち大作戦はすごくシンプルです。作戦が功をなしたのか、それとも何か理由があるのか今になってはわかりませんが、ありがたいことに費用がかかったのは、初回の面接の時と最後の成功報酬のみでした。離婚の裁判に向けての準備に必要なデータは、美和子が避難先から作成して送ったファックス1回分だけで、全ての種類を作成してくださいました。

裁判になるだろうと言っていたのですが、頼もしい弁護士さんのおかげで、あっという間に夫側は折れ、離婚ができたのです。

 

のちに弁護士さんがおっしゃっていたことですが「DVのお仕事を依頼されると、被害者の方は心が傷つきメンタルがグチャグチャでなかなか進まないケースがとても多いんです。無理もないのだけれど、あまりにも傷ついておられて、カウンセリングのようなことになってしまって、全く進めない。だけどあなたは全然違ってた」と話してくださいました。でも内心美和子は「違うねん。お金が心配だっただけ、ハハハ」と思っていたのでした。

最近、壮絶なDVを受け、意を決して弁護士さんに依頼できたのに、心の傷が深すぎて前に進めず苦しんでおられる方のお話を聞くことが多いです。私の体験が役にたつか疑わしいのですが、混乱している当事者の方や、周りで心を痛めているご家族の方などに、ちょっとしたヒントにならないかなと思って、次のページで、シェアしたいと思いました。

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